第2回
体幹強化のために鍛えるべき筋肉
「体幹が強い」とは?

体幹強化の具体的な方法の前に、今回は前提知識をお伝えします。

まずそもそも、「体幹が強い」とはどういう状態なのでしょうか?

私はこれを、
腹部インナーマッスルが発動している状態
であると説明しています。

インナーマッスルというのは身体の深層にある筋肉です。

一方、身体の表層にある筋肉はアウターマッスルと言います。

例えば「腹筋」という言葉がありますが、これは正確に言うと
「腹部の様々な筋肉をひとまとめにした呼び方」
です。

腹筋を細分化すると、表層には「腹直筋」や「外腹斜筋」が、深層には「内腹斜筋」や「腹横筋」があります。

「腹直筋」は腹部前面にあり、いわゆるシックスパックとも呼ばれる部分です。

「外腹斜筋」「内腹斜筋」はまとめて「腹斜筋」ともいい、スポーツ等で身体をひねる動作に使われる筋肉です。

そして「腹横筋」は、この後で説明する腹部インナーマッスルの1つです。
これは、内臓の保護や背骨の安定にも関わる非常に重要な筋肉であり、天然のコルセットとも言われています。

腹部インナーマッスルとは?

先ほど、「体幹が強い」とは
腹部インナーマッスルが発動している状態
であると説明しました。

そして腹部インナーマッスルは、具体的には以下の4つの筋肉になります。

腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋

これらは、お腹の前後と上下を囲む重要な筋肉です。

腹部インナーマッスルを鍛えて体幹が強化されると、自然な良い姿勢を常時保てるようになります。

アウターマッスルとインナーマッスルの違い

体幹強化には、腹部インナーマッスルを鍛えることが重要です。

ただし、ここで1つ注意点があります。

それは、
アウターマッスルとインナーマッスルでは、性質・役割・鍛え方が全く違う。
ということです。

以下の比較をご覧ください。

アウターマッスルについて

①使えば使うほど疲労する。

②大きな力を発揮するために使われる。

③意識して動かしやすい。

④大きな負荷をかけ、力を込めることで鍛えられる。

インナーマッスルについて

⑤長時間使っても疲れない。

⑥姿勢保持や関節の安定のために使われる。

⑦意識して動かすのが難しい。

⑧小さな負荷でゆっくりと動かすことで鍛えられる。

おそらく、多くの方が「筋トレ」と聞いてイメージするのは、アウターマッスルの①~④だと思います。

しかし、インナーマッスルについては、そういったイメージとはむしろ真逆の性質を持っています。

ですから、その鍛え方もアウターマッスルと同じように考えてはいけません。

例えば、腕立て伏せは大胸筋を鍛えるトレーニングです。
この大胸筋はアウターマッスルなので、腕立て伏せの動作を限界まで繰り返せば鍛えることが可能です。

一方、インナーマッスルには⑤の性質があります。
ということは、そもそも「限界まで追い込む」というやり方自体ができません。

皆さんがよく行う通常の腹筋運動は、勢いをつけて上半身を起こす動作を繰り返して行いますが、これもアウターマッスルの鍛え方です。

つまりこのやり方では、インナーの腹横筋ではなくアウターの腹直筋が鍛えられることになってしまいます。

ただ闇雲に腹筋運動をしても、体幹強化には繋がらない。
ということに注意しましょう。

インナーマッスルを鍛えるのは難しい…

ここからは、体幹強化に必要な腹部インナーマッスルについて、更に詳しく解説したいと思います。

インナーマッスルの性質⑤~⑧を再掲します。

インナーマッスルについて

⑤長時間使っても疲れない。

⑥姿勢保持や関節の安定のために使われる。

⑦意識して動かすのが難しい。

⑧小さな負荷でゆっくり動かすことで鍛えられる。

まずは⑤⑥より、
腹部インナーマッスルが使えていれば、良い姿勢を無理なく長時間保てる。
ということが言えます。

裏を返せば、
腹部インナーマッスルが使えていない人は、姿勢保持にアウターマッスルが使われるため疲労を感じやすくなる。
とも言えるわけです。

次にインナーマッスルの鍛え方ですが、⑦から分かるように、
「●●の筋肉を意識して動かそう」
といった考え方では上手くいきません。

⑧は特に、普段アウターマッスルを鍛えている人には、かなり違和感を感じる内容だと思います。

しかし実際のところ、インナーマッスルの鍛え方は「小さな負荷でゆっくり動かす」が正解となります。

意識して動かすのが難しいということもあり、インナーマッスルを鍛えるのは結構難しいということをまずは理解しておいてください。

次回は、腹部インナーマッスルについて、あなたの現状をチェックする方法を紹介します。

第2回
体幹強化のために鍛えるべき筋肉