第5回
体幹強化法(その2)

前回に続き、腹部インナーマッスルを鍛えるもう1つの方法を紹介します。

体幹強化法②:複合高周波EMS

今回の内容は「お金をかけて近道できる方法」になります。

その方法は、「複合高周波EMS」のマシンを利用することです。

EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略で、電気刺激を用いて筋肉を動かす機械をEMS機器といいます。

「某サッカー選手が腹部に機器を装着して、腹筋が自動的にピクピク動く」
というCMを見たことがある人も多いのではないでしょうか?

しかしながら、
個人で買える家庭用EMSでは、インナーマッスルは鍛えられない。
ということはあまり知られていないと思います。

実は、深層にあるインナーマッスルまで電気刺激を届けられるのは、業務用のEMSだけなのです。

その理由は、「周波数の違い」にあります。

家庭用・業務用の「周波数」の違い

家電量販店や通販サイトで売られている家庭用EMSは、電気の周波数が20~100ヘルツ程度であり、これは低周波EMSに分類されます。

ですが、そのデメリットとして
「低周波EMS」では、電気刺激が皮下数mmまでしか届かない。
という特徴があります。

つまり腹筋であれば、表層の「腹直筋」までしか電気刺激が届かず、インナーマッスルの「腹横筋」は鍛えられないということが分かります。

一方、業務用として使用される「複合高周波EMS」ですが、その周波数は最大500,000ヘルツであり、低周波EMSとは全くの別物と言えるでしょう。

この「複合高周波EMS」には、以下の3つのメリットがあります。


メリット1:深さ

最初のメリットは、電気刺激が体表から15~20cmの深さまで届くということです。

そのため、腹部インナーマッスルを鍛えることも十分に可能です。

当院の事例では、相撲取りの方にも効果がありました。
ですから、どんな体型の方であっても、深層のインナーマッスルまで電気刺激を届けて効果的に鍛えることができます。


メリット2:効率

2つ目のメリットは、圧倒的に効率が高いということです。

その理由は、筋収縮の回数が非常に多いからです。

例えば当院で使用しているEMSは、30分で9,000回もの筋収縮を起こすことができます。

そのため非常に効率的なトレーニングができ、体幹強化を実感できるまでの期間を一気に短縮できるはずです。

当院の事例では、筋力の弱いお年寄りの方には特に効果を感じて頂けました。

80代女性の患者で、腰が曲がっていて歩く時にも杖を使っている方がいました。

腰が曲がっている状態は、姿勢保持に必要な腹部インナーマッスルがかなり衰えていることを意味します。

そこで、この患者さんにEMSでのトレーニングを継続的に提供しました。

その結果、現在ではあまり杖を頼らなくても歩けるようになり、若い頃の筋力を取り戻すことができました。

他にも、以前は5分歩くだけで疲れていたのが、現在は
「気が付くと、1時間以上立ちっぱなしでも大丈夫だった!」
など本人も驚くほどの変化があったそうです。


メリット3:快適さ

3つ目のメリットは、痛くないということです。

電気刺激と聞くと、「痛そう」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか?

おそらく整骨院等の電気治療や、テレビ番組の罰ゲーム等で使われるビリビリグッズが、そういったネガティブイメージの元になっているのだと思います。

しかし、上記のような不快な痛みを伴う電気刺激は低周波電流の性質であり、複合高周波EMSであればそういった心配はありません。

それどころか、
ただ横になっているだけで、快適にインナーマッスルを鍛える
ということが可能になります。

当院に来る患者さんでも
「電気は痛そうだから、できればやりたくない」
という方は一定数いらっしゃいます。

ですが、そういった方々に複合高周波EMSの体験を一度受けてもらうと、
「全然痛みはなかった」
と言われたり、その場で体幹の安定を感じてもらえた方からは、
「こんなに楽に鍛えられるならぜひ続けたい」
といったポジティブな感想を頂けることもあります。

このように「複合高周波EMSは痛くない」という点も、トレーニングを継続する上で大きなメリットと言えるでしょう。


メリット3の補足

「高周波は本当に痛くないのか?」を心配される方に、根拠の補強となりそうな情報をお伝えします。

EMSではありませんが、肩コリ・腰痛改善のための「コリコラン」という家庭用高周波治療器が、パナソニックから販売されています。

その商品の紹介ページを見ると、次のようなことが書かれています。

引用

『約9MHz(1秒間に約900万回)の高周波が、身体組織まで深く浸透』

『本製品で採用している高周波パルスは低周波治療器と異なり刺激感がない』

参照URL
https://news.panasonic.com/jp/press/jn170724-2

この引用からも
高周波であれば電気は深くまで届くが、それによる不快な刺激感はない。
ということが分かると思います。


以上3つのメリットも踏まえると、「複合高周波EMS」による腹部インナーマッスルのトレーニングは、時間と健康をお金で買える有効な手段と言えるのではないでしょうか。

忙しい現代人や、筋力低下が顕著な高齢者の方には、特にこの方法はオススメです。

「複合高周波EMS」を受けるには?

今回の記事を読んで、
「複合高周波EMSでのトレーニングをやってみたい」
と思われた方は、近所の整骨院や整体院でEMSを扱っている店舗を探してみましょう。

具体的には、「インナーマッスル」「深層筋」「体幹」「EMS」「電気」「高周波」
などのキーワードを組み合わせて、あなたが住む地域の整骨院や整体院を検索します。

上記の他に、複合高周波EMSの製品名である「楽トレ」や「FREUDE(フロイデ)」などを検索しても良いでしょう。
(当院では、FREUDEを使っています。)

次に、検索にヒットした店舗のホームページをチェックして、
「EMSでインナーマッスルを鍛える」
といった旨の説明があればOKです。

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体幹強化法(その2)