第6回
体幹強化のもう1つのアプローチ
新たなアプローチ「足裏矯正」とは?

第5回までは、「腹部インナーマッスルを鍛えて体幹を強化する」というアプローチを解説しました。

これは、「体幹部の深層にある筋肉を鍛えよう」という趣旨であり、感覚的にも分かりやすいと思います。

一方ここからの内容は、私福井の独自理論に基づくアプローチとなります。
それが「足裏矯正」です。

この理論は、
足裏の歪みを解消すれば、体幹を安定状態に導ける。
というものです。

私と同業の治療家でも、この足裏に特化した施術を行っている人はほとんどいないと思います。

では、なぜ体幹から遠く離れた足裏の状態を変えることで、体幹を安定状態にできるのでしょうか?

その理論の概要として、まずは人が両足で立つ時のメカニズムから説明しましょう。

理論の概要

例えば建築物を建てる際には、地面の上にコンクリート製の「基礎」を築き、その上に木材の「土台」を設置します。

これらが建築物の重量を支えとなるため、基礎や土台は極めて重要な部分となります。

そして、人間においてこれらに相当するのが「足裏」です。

つまり、
「基礎や土台に問題があれば、建築物は建てられない」
のと同じように
「足裏の状態に問題があれば、人間は正しく立つことができない」
と言えるでしょう。

このような考えに基づき私が考案したのが、「足裏矯正」という理論になります。

ここから先は、足裏矯正の理論についてもう少し詳しく解説します。

メカノレセプターとは?

人の足裏には、
姿勢制御に必要な情報をキャッチする感覚受容器
が数多く存在します。

この感覚受容器のことを、メカノレセプターと言います。

分かりやすく言えば、「身体のバランスをとるためのセンサー」といったところです。

これを踏まえて、人の姿勢がどのようにつくられるかを説明しましょう。

姿勢制御のメカニズム

①足裏のセンサーが、地面の状態や身体の傾きなどを感知して脳に情報を送る。

②情報を受け取った脳が、全身の筋肉・関節に「倒れないようにせよ」と指令を出す。

③筋肉・関節がバランスを取りながら、姿勢を制御する。


①~③をまとめると、

足裏 ⇒ 脳 ⇒ 筋肉・関節

の順に情報伝達が起こることで、あなたの普段の姿勢が決まります。

例えば、傾いた斜面上でも人が倒れずに立てるのは、このメカニズムのおかげです。

さて、ここからが重要です。

足裏の状態が適正ならば、人は自然な良い姿勢で立つことができます。
その場合には、全身の筋肉・関節にも余計な負荷はかかりません。

ところが、足裏に何らかの歪みがある場合には、情報の誤伝達が起きてしまいます。

すると、常にどこかの筋肉・関節に余計な負荷がかかることになります。

その結果として身体が疲れやすくなったり、更に悪化すれば痛みや変形を引き起こすケースもあるというわけです。

このように
「足裏の歪み」というものが、現代人の不調の元凶
となっています。

そしてこの問題は、年齢に関係なく起こります。
若い人でも高齢者でも、足裏の問題が様々な身体の不調を招いているのです。

2つの事例を挙げましょう。

私の患者で、サッカーで膝の痛みを感じた中学生がいました。
そこで彼の足裏をチェックすると、ガチガチに硬くなっており衝撃を吸収できない状態でした。

また、他の患者で「5分歩くと疲れてしまう」「重いものが持てなくなった」と訴える80歳の方にも、やはり足裏の歪みがありました。

ところが、この両者に対して「足裏矯正」を行ったところ、症状は見事に改善し、更には体幹安定からのパフォーマンス向上にも繋がったのです。

このような事例を、過去20年以上にわたり数多く見てきた私の理論が「足裏矯正」となります。

「足裏矯正」の考え方

●足裏の歪みによって体幹が不安定になり、姿勢悪化・身体の痛み・パフォーマンス低下など様々な問題を招く。

●足裏を矯正して適正状態にすると、体幹が安定しパフォーマンスも向上する。

足裏の問題を生み出す環境的要因

先述の通り、多くの現代人が足裏の状態に問題を抱えています。

では、一体なぜ現代人は、矯正が必要なほどに足裏が歪んでしまっているのでしょうか?

これには環境的要因が強く影響していると考えています。

日常生活のあらゆる面において、現代人は利便性・安全性が高い環境で過ごしています。
足に関して言えば、「舗装された道路」や「靴」がそれに該当します。

凸凹のない道路や靴を履いて歩けるおかげで、我々はケガの危険性が減るというメリットを享受しているわけです。

しかしそれは一方で、足裏に様々な刺激(=情報)が入ってこない環境とも言えます。

そのため、多くの現代人は足裏の機能や感覚が低下しているというわけです。

利便性・安全性が高まったメリットも当然大きいのですが、その反面、本来の身体機能の低下という弊害も発生しているということが分かると思います。

つまり、便利で安全な現代生活の代償として、
足裏が歪み、体幹が弱くなり、姿勢が悪化し、身体に痛みが出る。
という問題が生まれていると言えるでしょう。

先ほど、
「サッカーで膝の痛みを感じた中学生の足裏が、ガチガチに硬くなっていた」
という話をしましたが、これも足裏の機能低下を裏付ける事象だと思います。

画期的な解決策

私は20年以上にわたり整体師として、足裏から不調を解消できる「足裏矯正」の施術を、多くの患者に提供してきました。

しかし、これには限界もありました。

それは、
施術直後はベストな状態になるが、時間が経つと再び足裏が歪んでくる。
というものです。

もちろん、定期的に施術を受ければその都度回復するので、それだけでも疲れにくくケガしにくい状態にはできます。

ただ、私には施術者としての理想がありました。

それは、患者が
常に身体の健康を維持でき、いつでも高いパフォーマンスを発揮できる。
という状態です。

そのためには、単に施術を提供するだけではなく、「日常生活での足の使い方の癖」にもアプローチする必要がありました。

そこで私が着目したのが、皆さんが普段履いている靴の中敷き、つまりインソールでした。

2024年にこれを着想してから早速開発をスタートさせ、
足裏が常に良い状態で、靴に入れて履くだけで体幹や姿勢が整うインソール
を目指しました。

そしてついに、私の「足裏矯正理論」を反映させたインソールが完成しました!

この画期的なインソールを、次回の記事で案内させて頂きたいと思います。

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体幹強化のもう1つのアプローチ